日本退職代行協会は、日本初の退職代行サービス業界の協会で「退職代行業界の消費者保護と業界活性化」を最大の目的として発足した組織です。

退職代行サービスは非弁行為か?

退職代行サービスは非弁行為か?

退職代行サービスは非弁行為か?

退職代行サービスを利用して退職する人が段々と増えてきましたが、まだまだ「退職代行サービス」という言葉が耳慣れないなと思われる方も多いと思います。
そもそも退職代行サービスって何だろう?、安全なサービスなのだろうか?と心配される方もいらっしゃいます。

特に、退職代行サービスについてお話しする中で「非弁行為」ではないのか?違法ではないのか?というご質問をいただくことが多くあります。

実際、弁護士の中には退職代行サービスは違法であると結論付けている方もいらっしゃいますが、違法ではないと判断されている弁護士の方も大勢いらっしゃいます。
弁護士の方々でも意見や考え方が分かれているのです。

そこで今回は退職代行サービスが違法なのかそうでないのか、判断のポイントはどこになるのかを解説させていただきながら、利用する際の注意点、相談時に確認しておきたいことも含めてお話しさせていただければと思います。

非弁行為とは何か

まず「非弁行為」とは何なのかを説明する必要があると思います。非弁行為については弁護士法第九章、第七十二条に「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止」として記載されており、内容は下記になります。

”弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。”
出典:e-Gov

要約すると、弁護士の資格を持たない者(事業者)が報酬を得る目的で弁護士と同じように一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁もしくは和解、その他の法律事務を取り扱う、または生業とすることはできないという内容になります。弁護士の資格がないのに弁護士の仕事をしてはいけないという法律です。

 

退職代行サービスは非弁行為?判断のポイントは?

それでは退職代行サービスは非弁行為に抵触し、違法なサービスであると判断できるのでしょうか?
結論から言えば「適正な範囲での退職代行は非弁行為にはあたらない」というのが当協会の見解です。退職代行サービスそのものは違法ではないと判断しています。

冒頭にも申し上げましたが弁護士で意見が分かれるところですが、判断のポイントとしては退職代行サービスが消費者から依頼を受けて実施する代行の内容が法律事件またはその他法律事務に該当するかどうかという点にあると思います。

この「その他の法律事務」が判断の難しいところになります。
法律事務とは一般的に、
・法律相談(金銭をもらい法律に関するアドバイスを行う)
・示談交渉
・債務整理
上記のものが主な内容になるそうですが、退職代行サービスに当てはめた場合に該当する法律事務はあるのでしょうか?
そちらが下記のものになります。
・有給休暇の消化、もしくは買取の交渉
・未払い賃金、未払い残業代の支払い交渉
・各種ハラスメントに対する慰謝料請求
・損害賠償の請求
・公的書類(退職届など)の作成
以上のように、勤めている企業側との「交渉」を退職代行サービスが行った場合は違法になる可能性が高くなると判断できます。
すなわち、上記のような「交渉」を行わない、退職者の意思の伝達に留めた適正な範囲での退職代行サービスは非弁行為には当たらず、違法ではないと判断できるかと思います。

 

退職代行サービスを利用する際の注意点

実際に退職代行サービスを利用する場合はどのような点に注意すればよいのでしょうか?
当然ながら非弁行為を行わない退職代行サービスに相談することが必須条件になります。ですが退職代行サービス事業者のホームページを見ただけでは中々判断できないものですが、選択権は消費者側にある以上、トラブルに巻き込まれないためにも十分な注意が必要です。

まずは「非弁行為は行わない」と宣言しているかどうかです。行わないと宣言している退職代行サービスは非弁行為に対して十分な注意を払っていると思います。
自分たちが違法事業者になってしまうことは絶対に防がなければなりません。
退職代行サービスを提供する側が注意を払っていれば非弁行為が行われる可能性はかなり低いでしょう。

次には弁護士からの監修や指導を受けているかどうかです。
非弁行為に対する判断が二分されているのは事実です。事業者としても微妙な住み分けを間違えてしまうと命取りになります。
そのため弁護士に相談しながら自分たちのサービスが違法ではないことを確認している退職代行サービス事業者は安心できる事業者と判断できるでしょう。

最後に、労働組合が運営している退職代行サービスがあげられます。
労働組合は、労働者の代わりとなって会社との交渉をすることが法的に認められた団体ですので、そもそも「非弁行為」自体が存在しません。
それは、先にお伝えした通り、弁護士法第七十二条の条文に「ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と記述されていますが、労働組合は労働組合法という法律によって会社と交渉することが認められているため、この条文に当てはまることになるためです。
つまり、労働組合が運営している退職代行サービスは非弁行為の可能性自体が存在しませんので、安全に利用することができる退職代行サービスであると言えるでしょう。

相談する際、退職代行サービスに確認しておきたいこと。

十分に情報収集して選定した退職代行サービスにいよいよ相談するのですが、まだ油断してはいけません。
ここでは非弁行為に巻き込まれないためにも退職代行サービスを実施する前に確認しておきたいことをお知らせします。

それは代行してもらう内容に交渉事が入っていないか再度確認をしていただきたいということです。
これは、労働組合が運営している退職代行サービスであれば交渉しても何の問題ありませんが、そうではない一般事業者の退職代行サービスを利用しようとする場合に注意が必要です。
退職代行サービス側でも十分に配慮していますが、退職代行サービスは消費者からの依頼内容をしっかりと伝えてくれます。そのため万が一間違いがあり交渉事が含まれていた場合に非弁行為として抵触する恐れがあるからです。確立としては低い懸案事項ですが、違法につながる危険因子は排除しておいて良いでしょう。

また労働組合ではない一般事業者の退職代行サービスの場合は、率直に非弁行為にあたる交渉事はしないでほしい旨を伝えることも効果的でしょう。改めて指摘されることで違法になる内容が含まれていないか確認するきっかけになります。

まとめ

現在の状況は弁護士と退職代行サービス事業者がうまく住み分けできていると思います。
仮に「退職代行サービスは全て非弁行為」だとなった場合、弁護士が展開する退職代行サービスでは料金や敷居が高いため、多くの消費者が利用できなくなる可能性があるのは大きな問題に発展すると考えています。
そうなってしまうと、仕事や職場が原因で自らの命を絶ってしまう人を救う手段が失われることになるのです。

非弁行為や違法リスクを知っていただくことをきっかけにしてもらい、退職代行サービス事業者と消費者が適時に相談しながら、注意を払っていくことで安心・安全な退職代行が実施されることを願っています。

退職代行サービスについては、当協会で厳正な認証審査を行い、合格した優秀な退職代行サービスに対して「JRAA認定」を付与しています。
トラブルなくスムーズな退職をするためにも、JRAAの認証に認定されている退職代行サービスへ依頼することをおすすめします。
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