日本退職代行協会は、日本初の退職代行サービス業界の協会で「退職代行業界の消費者保護と業界活性化」を最大の目的として発足した組織です。

【退職者向け】トラブルを避ける退職代行サービス利用時の注意点

【退職者向け】トラブルを避ける退職代行サービス利用時の注意点

退職代行サービス利用者

働き方やライフスタイルにおける仕事の在り方に変化が起きている昨今、退職代行サービスはメディアに取り上げられるようになり、新しく退職代行サービスに参入する事業者もかなり多くなってきました。これらの環境の変化は、退職を考えていた消費者が退職代行サービスを利用しやすい環境に変化しているといえるでしょう。
また、消費者(退職代行サービス利用者)にとっても様々な事業者から自分に合ったサービスを選ぶことができる環境は以前よりも「退職」という垣根が低くなってきている言えるのではないでしょうか。

このように選択肢が多くなることで退職代行サービス利用者にとってメリットが多くなっていく一方、正しい退職代行サービスを選ぶための知識や良いサービスを見抜く力も必要になってきています。
ここでは消費者である退職者の目線で、退職代行サービスの選定、退職代行サービス利用時の注意点など、退職代行サービスのメリットを最大限に受けながらトラブルを未然に防ぐ方法を紹介していきたいと思います。

利用する前に知っておきたい知識。退職代行サービスについて。

まず、退職代行サービスとはどのようなサービスなのでしょう?
退職代行サービスとは一言でいうと「退職代行サービス事業者が退職者本人に代わって退職の意向を会社に申し伝えてくれるサービス」であると言えます。
(詳しくは「退職代行サービスとは。意味や意義」をご覧ください)

この退職代行サービスですが、大きく分けて2種類に分類することができます。
1つは弁護士が行う退職代行サービス、もう1つは弁護資格を持たない民間の一般事業者(会社または個人)が行う退職代行サービスです。

弁護士、非弁行為大きな違いは退職代行サービス利用者に代わって法的な交渉ができるかできないかという点です。
詳しくは後述しますが、弁護士資格を持たない一般事業者が退職代行を実施する際、退職代行サービス利用者が勤めている会社側に対して退職の意思を伝えたり要望を伝えることは非弁行為にはあたりませんが、未払い残業代等の請求や有給消化の交渉(「取得したい」と伝えることはできます)など、直接の請求や交渉を行うことは「非弁行為」にあたり罰を受けることになります。
当然、退職代行サービス事業者は罰を受けるわけにはいきませんので退職代行サービス利用者から相談を受けた際に、退職代行を実施できる依頼とできない依頼を見極めていますが、退職代行サービス利用者としても非弁行為について知ることで、自身が叶えたい要求に合わない退職代行サービスを選択してしまうという失敗をしなくて済む、ということを覚えておいたほうが良いでしょう。

退職代行サービスを利用する前に注意しなければいけないこと。

先にも記述した「非弁行為」については、退職代行サービス利用者としても知っておいた方が良い必要な知識の1つといえますが、正しい知識や利用する前の注意点を事前に知っておくことで、トラブルを未然に防ぐことは非常に重要です。

ここで申し上げておきたいのは、「退職するのは退職代行サービス利用者自身」ということです。

退職代行サービスに依頼したからもう大丈夫、といった事業者任せの安易な考えはトラブルの元であると認識しておきましょう。退職代行サービス自体は会社と退職者が雇用契約であればどのような状況でも実行することが可能です。しかし、契約期間の有無や勤務状況、職場環境など様々なケースが存在し、場合によっては会社から借金をしていたり、会社の寮を汚していたり、自己中心的な考えしかできない等の性格上の問題など、退職代行サービス利用者自身が問題を抱えているケースも多々あります。

どのように優れた退職代行サービス事業者でも利用者自身に問題があった場合にはトラブルを防ぐことはできません。当然ながらスムーズに退職まで進められなくなります。

では、退職代行サービスを使って未然にトラブルを防ぎ、無事に退職するためにはどのような点に注意する必要があるのでしょうか?
退職代行サービス利用の注意点は主に以下の3点があげられます。

[注意点その1]退職代行サービス利用者自身がなぜ退職したいのか、その退職理由を明確にして、会社が納得できる退職理由にすること。

退職したい理由は退職者によって千差万別です。漠然とした理由のまま退職代行サービスを利用しても退職は順調に進みませんし場合によってはトラブルの元になることもあります。

また、退職代行サービスを利用するということはほとんどの場合で即日退職(その日以降出社しない)するわけですから、会社としては「即日退職に対して納得のできる退職理由」がないと了承できないのはある意味当然といえます。

退職代行サービス事業者としても、代行実施時に会社側からもっと具体的な理由を聞きたいや、その退職理由では納得できないと言われてしまうと、退職代行サービス利用者に再度確認を取らなければなりません。

必要以上に何度も連絡のやり取りが発生すると受ける会社側の心象が悪くなってしまいます。

会社側としてはいきなり退職代行サービスから連絡が入り、予定していなかった退職手続きを急遽行わなければならないわけですからスムーズに事を進めたいはずです。そのためにも詳細な退職理由を事前にしっかりと退職代行サービス事業者へ伝えておく必要があります。

[注意点その2]退職にともなって必要になる情報や物、確認しておきたいことは事前に準備して漏れのないよう退職代行サービス事業者へ伝えること。

第2に大事な注意点は、退職代行サービス事業者への伝達についてです。

スマホで退職代行依頼例えば、退職日はいつを希望するのか、次の転職先が決まっている、有給を消化したい等、退職代行サービス利用者の状況によって希望退職日に違いが出てくるものですが、これは退職者自身が決めなければ誰にも決めることができない情報です。この退職日をもとに退職の手続きを進めるのですから非常に大切な情報の一つです。
他には退職にともなう必要書類(もしくは必要になるかもしれない書類)の要望も事前にしっかりと伝える必要があります。会社を退職した場合、離職票、社会保険に加入していれば社会保険資格喪失証明書、雇用保険被保険者証、源泉徴収票といった書類の必要・不必要を確認される場合があります。よくわからないから全部もらっておこう…、完全に間違いではありませんが、それぞれの発行にも人の手間暇がかかっていますので心遣いとして、必要なものを把握しておき不要なものは依頼しないのがベストだと思います。

また、退職代行実施後に次々と要求や要望を追加して言い出すのはトラブルの元ですのでやめましょう。
退職代行を実施した後になって「有給消化したい」「離職票がほしい」「実際の退職日の日付を変更してほしい」「これを聞いてほしい」「あれが気になってるので聞いてほしい」など、思い付きで要望を言い出すのは会社だけでなく退職代行サービス事業者とのトラブルの原因になる可能性があります。

退職代行サービスは「退職の意思を伝えること」が基本的なサービス内容であり、その他の会社との連絡についてはあくまで無償サービスとしておこなっています(退職代行サービス事業者によって違いはあります)。そのため、ほとんどの退職代行サービスでは必要な連絡は退職代行実施後でも対応してくれますが、利用者が後から次々と要求や要望を言い出したとしても退職代行を実施した後でその連絡をおこなう必要性は退職代行サービス側にはありません。

一方、利用者側としては「退職完了までがサービス」と認識されている方が多く、事業者と利用者との認識の相違によってトラブルが発生します。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも要望があれば「最初に全てを漏れなく」伝えましょう。

もう1つ、私物の整理と返却物についても抑えておくべき注意点の一つです。
退職代行サービスを利用する場合の特徴的な事項と言って良いかもしれませんが、前述した通りほとんどの退職代行サービス利用者が即日、もしくは翌日の退職を希望します。その場合、日常で使用していたロッカーやデスクの中に私物を残していることもあるかと思います。そういった私物の必要・不要は退職者本人にしかわかりません。何をどこに残してきているのか、それは返却が必要なのか破棄して良いのか事前に退職代行サービスに伝えておくとスムーズです。

また、会社側に返却しなければいけない貸与物についても同様に把握をしておくと良いでしょう。退職代行サービス事業者に代行を実施してもらう際、貸与物の返却方法についても確認してもらうことも大切です。

退職代行サービス事業者は会社の環境やそこで働いている人たちのことを全く知らずに代行を実施します。小さいことですが事前に情報を共有することはトラブルを未然に防ぐために抑えておきたい重要な注意点となります。

[注意点その3]会社から要求されたことは迅速に対応すること。

三つ目の注意点は、会社側から要求されたことをすぐに対応せずに放置したことにより、その結果トラブルになるケースが多いという点です。

通常、退職代行を実施した際には会社側から様々な指示をされることになります。例えば、退職届の提出、制服のクリーニングや返却物の郵送などがそれにあたりますが、それらを先延ばしにしてすぐに行なわない方がいます。
返却物の中にはお店の鍵やセキュリティカードなど重要な物もありますので、返却しないことで何かあった時には真っ先にその退職者が疑われることになります。

また、退職届の提出が遅れると会社側は退職処理がいつまでもできず非常に迷惑を被ることになり、退職代行時に人事担当者が即日退職を了承していたとしても実際の退職届が届かなければその間は無断欠勤扱いにせざるを得ませんので、長引けば懲戒解雇の対象となります。

そしてこのようなことでトラブルになった際に、退職代行サービス事業者が対応することはありませんので退職者自身が対応するしかなくなります。「お金払ったんだから最後までやってほしい」というのが利用者の本音かと思いますが、退職代行サービスは「退職を伝えること」が仕事ですし、一見冷たいようですが事業として行っている以上、人件費等もかかるため必要以上にずっと対応することはできません。

また、内容によっては非弁行為と取られる危険性もありますし、何よりも退職者本人が招いたトラブルですので、そのようなトラブルに付き合うことはできない、という結論になるのは至極当然と言えます。

このようなトラブルにならないためにも、会社側から指示されたことは先延ばしにせず、その日や翌日までに必ず対応するようにすることが退職代行サービスを利用して円満退職をする上で必須となります。

失敗しない退職代行サービスの選び方

退職代行サービスで失敗

ここまでは消費者自身が知っておくべき知識、抑えておきたい注意点について説明させていただきましたが、次からは退職代行サービス事業者の失敗しない選び方や注意点についてご説明致します。

まず一つの基準となるのは、自身の退職にともなって未払い残業代の請求や退職前の会社とのトラブル(例えばパワハラやセクハラなどのハラスメント)があり慰謝料を請求したいなど、「法的な交渉が必要かどうか」です。
先にも記述した通り、弁護士資格を持たない一般の退職代行サービス事業者は退職する旨を伝えることや連絡事項の伝達はできますが法的な交渉を行うことはできません。

そのため、そのような法的な交渉や請求をする場合は弁護士の退職代行サービスへ依頼をして、そういった請求をする必要がない場合には一般の退職代行サービスを利用するというのが判断基準の一つとなります。

このように退職者自身が退職する際にそういった交渉が必要になるかを把握することも注意点の1つですが、退職代行サービス事業者が非弁行為のリスク(非弁リスク)について情報を発信しているか否かも注意点として挙げられます。
当協会の認定基準には、非弁行為のリスクについて対策をしているかも認定項目の一つとしてありますが、事業者のサイトに非弁行為のリスクについての記載がない場合は注意が必要です。退職代行を依頼した後、事業者が交渉や請求を行い非弁行為に抵触した場合、事業者に罰が与えられるだけでなく、消費者の退職取り消し等のトラブルに巻き込まれる可能性があるからです。たとえ料金が他よりも安くて魅力的であったとしても、トラブルに巻き込まれず安心・安全に退職することが第一です。非弁行為のリスクについて注目することは失敗しない退職代行サービス選びでは重要ですので、そのためにもできれば個人運営の退職代行サービスではなく、WEBサイト上で運営者をしっかり明記している法人(会社)運営の退職代行サービスへ依頼するのが無難と言えます。

もう一点、失敗しない退職代行サービス選びで大事なことは、退職代行サービス事業者に直接問い合わせをして相談をしてみるということです。
相談方法も退職代行サービス事業者によって様々ですが、電話やメールはもちろんのこと、最近ではLINEが主流になっているようで、ご自身が相談しやすい手段を選択することが可能です。

直接相談することによって返事がどのくらいで返ってくるのか、担当者の言葉使い、相談に対して親身になって受け答えしてくれるか、退職代行実施後もサポートをしてくれるのかなど、利用者自身と退職代行サービス事業者の相性もストレスなく退職を進めるには大切な要素になります。

多くの退職代行サービス事業者の中で自分に合った事業者を見つけることが失敗しない退職代行サービス選びの一つのポイントと言えるでしょう。

利用するにあたって大事なポイント、利用するにはどうすれば良いの?

退職届提出

ここまでは退職代行サービスを利用する前段階での注意点や退職代行サービスの選び方についてご説明しましたが、ここからは実際に退職代行サービスを利用する際に抑えておきたい大事なポイントや注意点について説明させていただきたいと思います。

利用したいと思える退職代行サービスを見つけたら、実際に退職代行の実施に向けて料金の支払いが必要となります。支払い方法についても事業者によって取り扱いが異なります。利用者自身に合った支払い方法を選択して無理なく利用することを心がけましょう。相談の段階で選択したくない支払方法を強要する事業者には注意が必要です。

料金の支払いが完了した後は具体的な情報の提供に進みます。

退職代行サービス事業者に提供する情報はできる限り詳細でわかりやすい内容を意識して伝えましょう。

前述したようにスムーズに進めて退職を完了させるためには重要なポイントになります。この部分が曖昧だったり、伝え漏れていたりすると退職の手続きが順調に進まない、何度も確認の連絡が必要になる、確認してほしかったことを聞いてもらえていない、欲しい書類を発行してもらっていない等、様々なトラブルに発展する可能性がありますので注意が必要です。

無事に退職を完了させるためにも、退職代行を実施してほしい日などの要望も正確に伝えておくことが大切です。誰に退職の意思を伝えるのか、会社名、連絡先、部署名や担当者の名前も必要になります。私物や貸与物についてや、退職後に必要な書類についてもしっかりと、かつ詳細に退職代行サービス事業者へ伝えるよう心がけましょう。

まとめ

ここまで「退職代行サービスを利用する前の注意点」「失敗しない退職代行サービスの選び方」「利用するにあたって大事なポイント」について説明させていただきました。
退職代行サービス利用者自身が事前に把握しておいた方が良いことがたくさんあったかと思います。それを退職代行サービスに依頼するのですから、事前の準備、相談、詳細な情報提供、会社からの要求への迅速な対応は非常に重要であることを認識しましょう。

事業者は退職代行サービスのプロですからある程度の情報でも求められている内容、伝えるべき内容を予測することが可能だと思います。しかし、実際の職場や人間関係、退職代行サービス利用者がかかわった人たちの人物像まではわかりません。
順調かつ無事に退職を進めることができるか否かは退職代行サービス事業者だけでなく、利用者自身にもかかっているということを覚えておいていただければと思います。

退職代行サービスについては、当協会で厳正な認証審査を行い、合格した優秀な退職代行サービスに対して「JRAA認定」を付与しています。
トラブルなくスムーズな退職をするためにも、JRAAの認証に認定されている退職代行サービスへ依頼することをおすすめします。
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