退職代行サービスを利用する退職希望者の中には、ハラスメントを理由に即日退職することを望む人も多いようです。
主なハラスメントは、パワハラ、セクハラといったところが有名な単語ですが、世の中で認識されているハラスメントは50を超えるとも言われています。
ハラスメントとは、相手からされて嫌だと感じること、困ってしまうことを意味していますが、退職代行サービスにも深く関連してきているハラスメントがあります。
それは「慰留ハラスメント」です。
聞き慣れない方も多いかと思いますが、慰留ハラスメントとはどういうものなのか?
会社側として気を付けなければいけないポイントはどこにあるのか、退職希望者が即日退職するための方法などについて説明していきます。
慰留ハラスメントとは何か?
慰留ハラスメントとは、会社側が退職の意思を示した従業員に対して必要以上の引き留め行為を行うことを言います。
重要なのは「必要以上の引き留め行為」という部分です。
必要以上の引き留め行為とは、その従業員が退職させないように退職を認めない、嫌がらせを行う、恫喝・罵声などで脅す、最悪は暴力をふるって強引に退職を取り下げさせるといった内容です。
恫喝や暴力はハラスメントの域を超えてしまっていますが、退職を申し出たことをきっかけに従業員が嫌な思いをすることが慰留ハラスメントと言えます。
この慰留ハラスメントを受けたことで退職代行サービスへ相談される方が増えているようです。
退職代行サービスを利用することで会社側とは関わることなく、即日退職を望む方がほとんどだと言います。
慰留ハラスメント、会社側の理由や背景は?
退職代行サービスを利用してでも退職することを考えてします慰留ハラスメント。
会社側が慰留ハラスメントを起こしてしまう理由や背景にはどのようなことがあるのでしょうか?
主な理由や背景は以下になります。
①人員不足で退職されると、他の従業員の負担が増してしまう。
②従業員の補充には、時間もお金もかかってしまう。
③会社内での評価が悪くなってしまう。
①人員不足で退職されると、他の従業員の負担が増してしまう。
多くの企業が必要最低限の人員で経営・運営を行っています。中には限界水域で経営している会社も多いかもしれません。
そんな中、貴重な戦力である人員が一人でも欠けてしまえば、残った従業員でその穴を埋める必要が出てきてしまいます。
一時的であれば乗り越えることができるかもしれませんが、負担が長引けば限界を理由に新たな退職希望者が現れるかもしれません。
そうならないためにも、企業側は色んな手段で退職希望者を慰留するのです。
②従業員の補充には、時間もお金もかかってしまう。
退職してしまう従業員の代わりに新しい社員を募集しなければなりません。
しかし、そのためには募集情報をネットに発信したり、各関係部署と打合せを行ったりする必要があります。
非常に時間がかかる業務であり、募集広告費は会社として想定外の出費になります。
新しい社員が見つかるまで広告費はかかってくるため、長引けば企業側としては出費がかさんでしまうでしょう。
また、採用してから時間と経費をかけて成長してくれた社員がいなくなってしまっては、今までやってきた教育や経費が無駄になってしまいます。
一から新しい社員を教育していくには時間もお金も労力も多大にかかってきます。
③上司の会社内での評価が悪くなってしまう。
貴重な戦力がいなくなってしまうことは上司にとって管理能力が問われる点でもあります。
重要な仕事を担っていた従業員であれば、その上司は会社側から管理責任を問われることになるでしょう。
そうならないため、上司は色んな手段で慰留に努めますが、行き過ぎてしまった行為が慰留ハラスメントに発展してしまっているようです。
働く側の慰留ハラスメント対策
会社側の事情を理解してしまう、慰留ハラスメントには耐えられないから我慢しよう、と退職への気持ちが弱まってしまう方もいるかもしれません。
しかし、そういったハラスメントに遭うことなく、無事に退職する方法もあります。
働く側にとっての慰留ハラスメント対策について説明したいと思います。
①退職代行サービスを利用する。
退職代行サービスを利用すれば会社側と接触することが無くなるため慰留ハラスメントに遭うことは無くなります。
また、退職代行サービスを利用すれば即日退職することができるため、会社に対する悩みからすぐに解放されます。
会社側としても第三者である退職代行サービスからの申し入れに対しては感情的になることも少ないため、比較的温和に退職することが可能です。
②事前に退職するための準備をしておく。
会社側として一番困るのは退職希望者がやっていた業務に支障や損失が出ることです。
逆にいえばその部分が担保されていれば退職することを快く承諾してくれるでしょう。
事前準備としては引継ぎ内容を明確にしておくこと、普段から上司や同僚と情報共有をしておくことで誰に替わっても支障や損失がなく業務が遂行できるようにしておくことが考えられるでしょう。
③退職することは複数名に相談する。
上司だけに伝える、人事担当者だけに相談する、こういった方法が慰留ハラスメントに遭ってしまう傾向にあるようです。
会社側の要因として、相談を受けた上司や担当者は責任に問われる可能性があることは説明しました。
複数名に相談していればその責任を分散することができます。また、万が一慰留ハラスメントに遭ってしまった場合、既に相談している他の人に慰留ハラスメントの件を相談することもできます。
まとめ
普段から従業員がたくさんいて1人退職しても特に影響がない、といえる企業は非常に少ないでしょう。
様々な要因により必要最低限の人員で職場が成り立っているため、誰かが退職する時に慰留ハラスメントが発生しているようです。
しかし、慰留ハラスメントの原因があるとしても一緒に仕事をしてきた従業員にハラスメントをすることはあってはならない行為です。
企業側としては慰留ハラスメントが起きない環境づくりが大事です。
また、退職希望者としては慰留ハラスメントに遭わないための知識と対策を身に着けておくことをお勧めします。
万が一、慰留ハラスメントに遭ってしまいどうすることもできなくなってしまった場合は我慢せず、退職代行サービスに相談することも良いでしょう。
慰留ハラスメントに苦しむ人がいなくなるように、本記事が役に立てば幸いです。